日本の営業は、なぜマニュアル化から遠のいてしまうのか──社長の立場と時代背景という「営業の構造」

営業の構造

【目次】

① 前回の振り返り
② 大きな起因は「社長の営業観」にある
③ 成り上がり社長の場合に起きやすいこと
④ 消費者は、すでに変わっている
⑤ 未経験社長の場合に起きやすいこと
⑥ まとめ


① 前回の振り返り

前回の投稿では、
世界の営業では
マニュアル化が前提になっている
という話を整理しました。

理由は単純で、

  • 生産性
  • 再現性

この2つを重視すると、
「誰がやっても、一定の成果が出る設計」
が必要になるからです。

マニュアルは、
人を縛るためのものではなく、
悩ませないための装置

ここまでが、前回の整理でした。

では次に、
自然と浮かぶ疑問があります。

なぜ日本の営業は、
いまだにマニュアル化から遠いのか。

今回は、
その大きな起因を
**「社長の立場」と「時代背景」**から見ていきます。


② 大きな起因は「社長の営業観」にある

私の見解では、
日本で営業のマニュアル化が進まない大きな要因は、

社長が

  • 成り上がり
  • もしくは営業未経験

であるケースが多い点にあると感じています。

どちらが悪い、という話ではありません。
ただ、構造としてそうなりやすい、という話です。

ここから、
2つのケースに分けて整理します。


③ 成り上がり社長の場合に起きやすいこと

まず、成り上がり社長の場合。

この方たちは、
ある意味で「成功体験」を持っています。

ただし、その成功体験が作られた時代背景は、

  • 経済バブル
  • 右肩上がりの市場
  • 情報が限られていた時代

であることが多い。

一方で、
現在の日本の情勢はどうでしょうか。

  • 経済状況
  • 年収
  • 生活水準
  • 消費者心理

すべてが、
当時とは大きく変化しています。

にもかかわらず、
営業スタイルだけが変わっていない

ここに、
大きなズレが生まれていると、私は感じています。

具体的には、

  • 根性論
  • 行動量重視
  • 気持ちで押し切る営業

こうしたスタイルです。

これは、
当時は機能したかもしれません。

しかし、
今の消費者のスタイルを
前提にしていない。


④ 消費者は、すでに変わっている

現在の顧客は、
昔と同じ判断基準では動いていません。

理由はシンプルで、
情報が湯水のように溢れているからです。

スマホ一つで、

  • 価格
  • サービス内容
  • 口コミ
  • 比較情報

いくらでも手に入る。

そんな環境の中で、
昔の営業スタイルは
太刀打ちできなくなっています。

今の顧客が重視しているのは、

  • 値段より質
  • 担当者や会社との相性
  • 損をしない、もしくは得をする設計
  • プラスアルファの付加価値

こうした要素です。

これは「傾向」というより、
誰でも触れられる情報として
常に目に入っている状態

と言った方が近いかもしれません。

そこに対して、
営業ノウハウが感覚論のままだと、

  • 成績は落ちる
  • 再現できない
  • 育成もできない

という結果になりやすい。

私は、
これは構造的に自然な流れだと思っています。


⑤ 未経験社長の場合に起きやすいこと

もう一つが、
営業未経験の社長です。

いわゆる、

  • 〇代目社長
  • 営業力を評価されていない雇われ社長

このケースです。

この場合に起きやすいのは、
営業を**「ブラックボックス化」**してしまうこと。

自分がやっていないから、

  • 何が難しいのか
  • どこでつまずくのか
  • 何を基準に判断しているのか

が見えにくい。

結果として、

  • 現場任せ
  • ベテラン任せ
  • 数字だけを見る

という状態になりやすい。

この環境では、
営業を構造化する発想が
生まれにくいのも無理はありません。


⑥ まとめ

日本の営業が
マニュアル化から遠のいている理由は、
現場の努力不足ではありません。

  • 社長の営業観
  • 成功体験の時代背景
  • 消費者の変化とのズレ

これらが重なり、
構造としてマニュアル化しにくい環境
出来上がっていると、私は感じています。

ここで、
前々回の投稿で触れた点を
もう一度整理しておきます。

大手企業では、
営業のマニュアル化は進んでいる。
一方で、
中小企業では進んでいない。
そもそも概念自体が理解されにくい。

この構図は、
今回お話しした内容に
強く起因していると考えています。

大手企業は、

  • グローバル視点での情報や助言を得られる
  • 資金力という大きな武器がある

この2点を活かし、
外注を前提とした内省が可能です。

例えば、

  • 営業スクリプトの作成
  • コンサルによる1on1指導
  • マネジメントのマニュアル化と外部指導
  • 商品・サービスの開発、ブランド化

こうしたことを、
**同時並行で進める「王者の戦い方」**ができます。

これは、
個々の業務スキルや商品力の話だけでなく、
マーケット(集客)を含めた戦い方です。

当然、
そのマーケット戦略も
王者の戦い方になります。

では、
中小企業がこれを
そのまま真似できるかというと、
現実はそう簡単ではありません。

私の感覚では、
真似できても3割程度。

理由は明確で、

  • 時間がかかる
  • 費用がかかる

この2つの負担が、
あまりにも大きいからです。

結果として、

  • できて当たり前の企業
  • できなくて当たり前の企業

この格差は、
どうしても生まれてしまう。

だからこそ、
中小企業や個人の営業には、
同じ戦い方をする必要はない
と、私は思っています。

必要なのは、
王者の真似ではなく、
自分たちの立ち位置に合った
「営業の構造」を作ること。

マニュアル化とは、
資本勝負をすることではありません。

限られた条件の中で、
悩みを減らし、
再現性を作り直すための手段。

その視点を持てるかどうかが、
これからの営業を
大きく分けていくのではないか。

そんな構造、あなたは欲しくないですか?

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