誠実な人ほど、なぜ先に疲れていくのか

コミュニケーションマインド

― 行動科学が示す「ギバー」という行動タイプ

【目次】

  1. はじめに:これは思想や精神論の話ではありません
  2. 人の行動は3つのタイプで整理されてきました
  3. ギバーとは、どのような行動傾向なのでしょうか
  4. ギバーが周囲から信頼されやすい理由
  5. 私自身の感覚として思い当たること
  6. 誠実な人ほど疲れやすく感じてしまう理由
  7. ここで一つ、安心してもらえたらと思うこと
  8. 次回に向けて:引き受けない役割について

1. はじめに:これは思想や精神論の話ではありません

最初に、前提を一つだけ共有させてください。

これから書く内容は、
生き方論や精神論、
「こうあるべきだ」という思想の話ではありません。

2000年代以降、
行動科学や社会心理学の分野で研究されてきた
人の行動傾向を整理するための考え方をもとにした話です。

優しさや性格の良し悪しを語るのではなく、
人がどのような判断や行動を選びやすいか
整理するための枠組みとして読んでもらえたらと思います。


2. 人の行動は3つのタイプで整理されてきました

比較的最近の研究では、
人の対人行動は大きく3つのタイプに分けて考えられる
という整理が広まってきました。

それが、

  • ギバー(Giver)
  • テイカー(Taker)
  • マッチャー(Matcher)

という3つの行動タイプです。

ここで大切なのは、
これは性格診断ではないという点です。

人を固定的に分類するものではなく、
「その人が、どのような行動を取りやすいか」
という傾向を捉えるための考え方とされています。

同じ人であっても、
場面によってギバー的に振る舞うこともあれば、
マッチャー的な選択をすることもあります。


3. ギバーとは、どのような行動傾向なのでしょうか

ギバーとは、
単に「人に与えるのが好きな人」という意味では
語りきれないようです。

行動の特徴を現実に近づけて表現すると、
次のような傾向が見られることが多いと言われています。

  • 判断を先に引き受ける
  • 相手の立場や事情を先に考える
  • 場が止まらないように動こうとする
  • 責任や手間を先に背負うことが多い

結果として、
物事を前に進める役割に回りやすい
そんな行動パターンが見えてきます。


4. ギバーが周囲から信頼されやすい理由

ギバー的な行動を取る人がいると、
多くの場面で物事は比較的スムーズに進みます。

  • 話が整理されやすい
  • 判断が止まりにくい
  • 誰かが困ったときに支えが生まれる

そのため、
「この人がいると助かる」
「任せやすい」
と感じられることも少なくありません。

たとえば、
会議で誰も決めきれないときに意見をまとめてしまう人や、
相手の事情を先に考えて段取りを整えてしまう人。

特別な評価や報酬がなくても、
つい動いてしまう。
そうした行動が、
信頼につながっているように見えます。


5. 私自身の感覚として思い当たること

私自身もそうですが、
目の前に「困っているかもしれない人」がいると、
それが他人であっても、知り合いであっても、
どうしても気になってしまうことがあります。

何かできることはないか、
少し声をかけた方がいいのではないか。
そんなことを、
意識する前に考えてしまう。

こうした反応も、
ギバー的な行動の一つとして
整理できるのかもしれません。


6. 誠実な人ほど疲れやすく感じてしまう理由

一方で、
誠実に向き合っている人ほど、
こんな感覚を抱くこともあるかもしれません。

  • 自分ばかり考えている気がする
  • なぜか先に疲れてしまう
  • 頑張っているのに、報われないように感じる

ここで多くの人は、
「自分のやり方が悪いのではないか」
と自分を責めてしまいがちです。

ただ、
ギバーが疲れやすく感じる理由は、
気持ちの弱さや覚悟の問題とは限りません。

相手の事情、
全体への影響、
失敗した場合の責任。

同時に考えている情報量が多い
という側面があるようです。


7. ここで一つ、安心してもらえたらと思うこと

ここまで読んで、
もし「自分はギバー寄りかもしれない」と感じたなら、
一つだけ伝えておきたいことがあります。

それは、
あなたが未熟だから疲れているわけではない
ということです。

誠実に考えること、
先に引き受けること、
場を整えようとすることは、
本来とても価値のある行動です。

ただし、
それがいつも同じ形で返ってくるとは限らない。
その現実が、
疲れにつながっているのかもしれません。


8. 次回に向けて:引き受けない役割について

ここまでで、
ギバーという行動タイプの輪郭を整理してきました。

次回は、
そのギバーと対になる行動タイプ、
引き受けない役割について整理します。

それは誰かを否定するためではありません。
後半で紹介する実体験を、
感情ではなく構造として理解するための準備です。

この考え方を知ることで、
人間関係や仕事の中で起きる出来事を、
少しだけ距離を持って見られるようになるかもしれません。

(②テイカー編へ続きます)

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