― 行動科学が示す「ギバー」という行動タイプ
【目次】
- はじめに:これは思想や精神論の話ではありません
- 人の行動は3つのタイプで整理されてきました
- ギバーとは、どのような行動傾向なのでしょうか
- ギバーが周囲から信頼されやすい理由
- 私自身の感覚として思い当たること
- 誠実な人ほど疲れやすく感じてしまう理由
- ここで一つ、安心してもらえたらと思うこと
- 次回に向けて:引き受けない役割について
1. はじめに:これは思想や精神論の話ではありません
最初に、前提を一つだけ共有させてください。
これから書く内容は、
生き方論や精神論、
「こうあるべきだ」という思想の話ではありません。
2000年代以降、
行動科学や社会心理学の分野で研究されてきた
人の行動傾向を整理するための考え方をもとにした話です。
優しさや性格の良し悪しを語るのではなく、
人がどのような判断や行動を選びやすいかを
整理するための枠組みとして読んでもらえたらと思います。
2. 人の行動は3つのタイプで整理されてきました
比較的最近の研究では、
人の対人行動は大きく3つのタイプに分けて考えられる
という整理が広まってきました。
それが、
- ギバー(Giver)
- テイカー(Taker)
- マッチャー(Matcher)
という3つの行動タイプです。
ここで大切なのは、
これは性格診断ではないという点です。
人を固定的に分類するものではなく、
「その人が、どのような行動を取りやすいか」
という傾向を捉えるための考え方とされています。
同じ人であっても、
場面によってギバー的に振る舞うこともあれば、
マッチャー的な選択をすることもあります。
3. ギバーとは、どのような行動傾向なのでしょうか
ギバーとは、
単に「人に与えるのが好きな人」という意味では
語りきれないようです。
行動の特徴を現実に近づけて表現すると、
次のような傾向が見られることが多いと言われています。
- 判断を先に引き受ける
- 相手の立場や事情を先に考える
- 場が止まらないように動こうとする
- 責任や手間を先に背負うことが多い
結果として、
物事を前に進める役割に回りやすい
そんな行動パターンが見えてきます。
4. ギバーが周囲から信頼されやすい理由
ギバー的な行動を取る人がいると、
多くの場面で物事は比較的スムーズに進みます。
- 話が整理されやすい
- 判断が止まりにくい
- 誰かが困ったときに支えが生まれる
そのため、
「この人がいると助かる」
「任せやすい」
と感じられることも少なくありません。
たとえば、
会議で誰も決めきれないときに意見をまとめてしまう人や、
相手の事情を先に考えて段取りを整えてしまう人。
特別な評価や報酬がなくても、
つい動いてしまう。
そうした行動が、
信頼につながっているように見えます。
5. 私自身の感覚として思い当たること
私自身もそうですが、
目の前に「困っているかもしれない人」がいると、
それが他人であっても、知り合いであっても、
どうしても気になってしまうことがあります。
何かできることはないか、
少し声をかけた方がいいのではないか。
そんなことを、
意識する前に考えてしまう。
こうした反応も、
ギバー的な行動の一つとして
整理できるのかもしれません。
6. 誠実な人ほど疲れやすく感じてしまう理由
一方で、
誠実に向き合っている人ほど、
こんな感覚を抱くこともあるかもしれません。
- 自分ばかり考えている気がする
- なぜか先に疲れてしまう
- 頑張っているのに、報われないように感じる
ここで多くの人は、
「自分のやり方が悪いのではないか」
と自分を責めてしまいがちです。
ただ、
ギバーが疲れやすく感じる理由は、
気持ちの弱さや覚悟の問題とは限りません。
相手の事情、
全体への影響、
失敗した場合の責任。
同時に考えている情報量が多い
という側面があるようです。
7. ここで一つ、安心してもらえたらと思うこと
ここまで読んで、
もし「自分はギバー寄りかもしれない」と感じたなら、
一つだけ伝えておきたいことがあります。
それは、
あなたが未熟だから疲れているわけではない
ということです。
誠実に考えること、
先に引き受けること、
場を整えようとすることは、
本来とても価値のある行動です。
ただし、
それがいつも同じ形で返ってくるとは限らない。
その現実が、
疲れにつながっているのかもしれません。
8. 次回に向けて:引き受けない役割について
ここまでで、
ギバーという行動タイプの輪郭を整理してきました。
次回は、
そのギバーと対になる行動タイプ、
引き受けない役割について整理します。
それは誰かを否定するためではありません。
後半で紹介する実体験を、
感情ではなく構造として理解するための準備です。
この考え方を知ることで、
人間関係や仕事の中で起きる出来事を、
少しだけ距離を持って見られるようになるかもしれません。
(②テイカー編へ続きます)


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