引き受けない人は、悪い人なのでしょうか

コミュニケーションマインド

― 行動科学が示す「テイカー」という行動タイプ

【目次】

  1. はじめに:テイカー=悪者、ではありません
  2. テイカーとは、どのような行動傾向でしょうか
  3. 結果の「向き」に注目してみる
  4. テイカーの行動が成立しやすい理由
  5. 一つの具体例として
  6. 補足:テイカーが持ちやすい迎合力について
  7. ギバーとのすれ違いが起きやすい理由
  8. ここで線を引いておきたいこと
  9. 次回に向けて:多くの人が当てはまる行動タイプへ

1. はじめに:テイカー=悪者、ではありません

前回は、
行動科学・社会心理学の研究をもとに
「ギバー」という行動タイプについて整理しました。

今回は、その対になる存在として語られることの多い
テイカーについて触れていきます。

最初に、はっきりさせておきたいことがあります。

テイカーは、悪い人ではありません。

この分類は、
誰かを評価したり裁いたりするためのものではなく、
人がどのような判断や行動を選びやすいかを
整理するための枠組みです。


2. テイカーとは、どのような行動傾向でしょうか

研究上、テイカーは
次のような行動を取りやすい傾向があるとされています。

  • 判断の結果が自分にどう返ってくるかを意識しやすい
  • 先に動くより、状況を見てから判断する
  • 判断や責任を、できるだけ自分の外に置こうとする
  • 役割や立場が明確な範囲で行動しやすい

ここで誤解しやすいのですが、
これは利己的である、という意味ではありません。

自分の立場や安全を守るための行動選択
と整理する方が近いように思います。


3. 結果の「向き」に注目してみる

テイカー的な行動を理解するうえで、
一つ分かりやすい視点があります。

それは、
結果のベクトルがどこに向いているか
という点です。

テイカーは、
「結果を重視する」というよりも、
その結果が自分にどう返ってくるか
という方向に意識が向きやすい傾向があります。

この視点で見ると、
多くの行動が
防衛的で、合理的な選択として
理解できるようになります。


4. テイカーの行動が成立しやすい理由

テイカー的な行動は、
日常の中で比較的成立しやすいと言われています。

その理由の一つは、
多くの場面に
先に引き受けてくれる人(ギバー)がいる
という前提があるからです。

  • 誰かが判断してくれる
  • 誰かがまとめてくれる
  • 誰かが責任を取ってくれる

そうした環境では、
テイカーは目立つことなく、
大きな摩擦も起こさずに
その場にいられることがあります。


5. 一つの具体例として

少し具体的な場面を想像してみてください。

会議の場ではほとんど発言しないのに、
会議が終わったあとの雑談や、
意思決定に直接関わらない場面になると、
とても饒舌(じょうぜつ)になる人がいます。

そこで語られている内容は、
会議の場で話してもおかしくない意見だったり、
状況をよく見ているからこそ出てくる指摘であることも
少なくありません。

ただ、その発言は
判断や責任が伴わない場所
選ばれているように見えます。

これは、
消極性や逃げではなく、
発言の結果が自分に返りにくい環境を選んでいる
と考えることもできそうです。


6. 補足:テイカーが持ちやすい迎合力について

ここで一つ、
テイカーについて補足しておきたいことがあります。

テイカーは、
悪い印象を持たれがちですが、
実際には共通した強みを持っていることも少なくありません。

それは、
自分が得意とするコミュニティにおける迎合力の高さです。

迎合という言葉は、
ネガティブに受け取られがちですが、
ここで言う迎合は、
単に相手に合わせることではありません。

  • その場で何が評価されやすいかを察知する
  • どの意見が通りやすいかを見極める
  • 自分が受け入れられやすい立ち位置を選ぶ

こうした環境適応の速さを指しています。

この迎合力が高い人は、
自分にとって居心地のよいコミュニティでは、
比較的スムーズに存在感を高めていきます。

結果として、
短期的には高い位置に自分を置くことも可能みたいです。

ここでは、
それが良いか悪いかといった
善悪の問題は扱いません。

あくまで、
テイカーという行動タイプが持ちやすい一つの特性
として整理しています。


7. ギバーとのすれ違いが起きやすい理由

ここで、
ギバーとテイカーの間に
すれ違いが生まれやすい理由が見えてきます。

ギバーは、
場を前に進めるために、
判断や責任を先に引き受けます。

一方でテイカーは、
その判断の結果が
自分にどう返ってくるかを考えたうえで
行動を選びます。

この判断の向きの違いが、
違和感や疲れにつながることがあるのかもしれません。


8. ここで線を引いておきたいこと

ここまで読んで、
テイカーという行動タイプに
否定的な印象を持つ必要はありません。

テイカー的な行動は、
個人が自分を守るための
自然で合理的な選択である場合も多いからです。

問題が起きやすいのは、
この違いを知らないまま、
同じ前提で関わろうとしたときです。


9. 次回に向けて:多くの人が当てはまる行動タイプへ

次回は、
このギバーとテイカーの間に位置する
マッチャーという行動タイプについて整理します。

多くの人が、
無意識のうちに選んでいる行動でもあり、
このタイプを知ることで
自分の立ち位置が
よりはっきりしてくるかもしれません。

(③マッチャー編へ続きます)

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