目次
- 営業トークとは何か
- 人は一瞬で敵か味方かを判断している
- 「営業」という言葉が警戒を生む
- 不認知バイアスというフィルター
- なぜ営業トークは営業トークになるのか
- フィルターが外れたとき、提案になる
- 「営業スマイル」が営業スマイルになる理由
- これは営業だけの話ではない
1 営業トークとは何か
営業トークとは何か。
新人の方や、営業経験の浅い方からよく聞かれる質問です。
営業の本には様々な答えがあります。
トークスクリプト
ヒアリング
提案
クロージング
どれも間違いではありません。
ただ私は、少し違う視点で考えています。
営業トークとは
人間の心理状態の中で行われる会話だと思っています。
2 人は一瞬で敵か味方かを判断している
人は初対面の相手と会った瞬間、
無意識のうちに判断をしています。
この人は敵なのか。
味方なのか。
もっと言えば
「自分に害を与える人なのかどうか」
という判断です。
これは理屈ではなく、ほぼ反射です。
人間は昔から危険から身を守る必要がありました。
そのため、相手を瞬間的に判断する本能が備わっています。
この段階では、
まだ会話の内容すら関係ありません。
3 「営業」という言葉が警戒を生む
ここに「営業」という要素が入ると、
少し状況が変わります。
営業と聞いた瞬間、
人は警戒します。
売り込まれるかもしれない。
高いものを買わされるかもしれない。
損をするかもしれない。
こうした感覚が、
無意識に生まれます。
つまり営業という立場で相手と会う時点で、
すでに警戒された状態から会話が始まっている
ということです。
4 不認知バイアスというフィルター
ここで働いているのが
不認知のバイアスです。
難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、
簡単に言えば
「営業だから警戒する」
という無意識のフィルターです。
人は一度ラベルを貼ると、
そのラベルを基準に相手を見ます。
この人は営業だ。
そう認識した瞬間、
相手の言葉は
「売るために言っているのではないか」
という視点で聞かれるようになります。
つまり話の内容の前に
警戒のフィルターがかかります。
5 なぜ営業トークは営業トークになるのか
ここで考えたいのは、
営業トークをどう上手くするかではありません。
むしろ逆です。
営業トークのまま話さないことです。
相手にフィルターがかかったまま話せば、
どれだけ正しいことを言っても
どれだけ丁寧に説明しても
その言葉は
営業トークとして処理されます。
だから営業トークは、
営業トークのまま終わります。
6 フィルターが外れたとき、提案になる
では何が必要なのか。
先にバイアスを取り除くことです。
警戒をほどき
フィルターを薄くし
この人は
売りつける人ではなく
自分の話を聞き
生活を良くしようとしている人だと
認識してもらうことです。
そこまでいって初めて
会話の中身が変わります。
そのとき話していることは
もう営業トークではありません。
顧客の生活の質を変える提案です。
ここを理解しないまま営業をすると
どうなるのか。
言い回しばかり磨く。
切り返しばかり覚える。
クロージングばかり追いかける。
でも相手の中では
ずっと「営業」として処理され続けます。
結果として
伝えているつもりでも
伝わらない。
良い提案をしているつもりでも
届かない。
そのズレが生まれるのではないでしょうか。
7 「営業スマイル」が営業スマイルになる理由
これはよく言われる
「営業スマイル」という言葉にも
近いと思っています。
笑顔そのものが
悪いわけではありません。
ただ、相手にバイアスがかかったままだと
その笑顔はいつまでたっても
営業スマイルに見えてしまう。
どれだけ笑っても
どれだけ柔らかく接しても
相手のフィルターが外れていなければ
その表情すら
売るためのものとして
受け取られやすくなるのだと思います。
8 これは営業だけの話ではない
そしてこれは
営業だけの話ではないと思っています。
対人関係でも同じではないでしょうか。
相手に警戒されている状態での優しさは
本当の優しさとして受け取られにくい。
笑顔も
言葉も
気づかいも
フィルターの向こう側では
別の意味に変わってしまうことがあります。
そう考えると
営業トークを学ぶ前に必要なのは
話し方の技術よりも
相手のフィルターをどう外すかを理解すること
なのかもしれません。
その提案は、
本当に営業トークでしょうか。

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